
湯河原温泉と伊藤屋
湯河原温泉は古くから多くの文人・墨客に愛されてきました。

湯河原温泉について
湯河原温泉は、古くは万葉集にも『足柄の土肥の河内に出ずる 湯の世にもたよらに子ろが言はなくに』と詠まれた古い温泉であり、この歌碑が万葉公園内に設置されています。
当館にも黒田清輝・有島武郎・三遊亭圓朝などの文人墨客がご宿泊されました。三遊亭圓朝は人情噺「名人長二」を当館滞在中にしたためており、噺のなかには当時の湯河原温泉の風景や当館初代の名前も出てきます。

温泉の効能
温泉の効能は外傷・火傷・神経痛等に良く効くため、日清・日露の戦役以降傷病兵のための指定温泉地になりました。
弊館に残っています明治34年9月の温泉宿宿泊規約によりますと、その当時旅館は9軒でした。大正の初めには宮内省や沼津の御用邸に温泉を送っていた 記録も残っており、現在に至っています。

徳大寺公爵と伊藤屋
明治天皇の侍従長であった徳大寺公爵が滞在するため、大正初めにお部屋52番の棟が造られました。門を入って右手背後の山裾の斜面を造成した2階建ての建物です。
その後大正15年4月に奥棟の前方に本館が建設されました。この2棟が国登録有形文化財です。