その昔、エアコンなどのなかった時代、客室の暖房には火鉢を使っていました。
当館には、昭和の前半まで実際に使われていた火鉢がいくつも残っています。
そのひとつを引っ張り出して、痛んでいるところを直し、磨きをかけ、小さなテーブルにリメイクしました。
手をあぶるために腕を置いた火鉢の縁はすり減って、
眺めていると昔のお客様と時を超えて会話をしているようです。
テレビもスマホもない時代、火鉢の前で暖をとりながら、
どんな話をして、どんな一夜を過ごしていたのだろうと想像が膨らみます。
障子しめて火鉢なつかし若楓 長谷川零餘子
年月を重ねた建築と道具に囲まれて、往時のゆったりとした時間を追体験していただけたら幸いです。
